お菓子な男の子
動物園で斗哉くんと別れたあとのことは、あまり覚えていない。お母さんが心配そうに私の顔を見ていたことだけ。
気づいたら朝になっていた。
ピンポーンと家のチャイムが鳴り、お母さんの私を呼ぶ声が聞こえる。
「杏奈~‼斗真くん、迎えに来たわよ‼」
だから、誰も頼んでないって。私は心の中で文句を言いながら、荷物を持って下に降りる。
玄関には斗真が立っている。いつもと違うのは、制服じゃないこと。私服の斗真を見ていると、まるで斗哉くんみたいで……
「今日は準備できてんな。行くぞ、杏奈」
「行こうと思ってたらアンタが来ただけ。私ひとりで駅まで行くから、斗真は先に行って」
「は?何言ってんだよ。同じ方向だろ。準備できてんなら行くぞ」
「いいから先に行ってよ‼」
なんか一緒にいたくない。でも……
「お前に話したいこともあるんだ。行くぞ」
「ちょっと、手はなしてよ……斗真っ‼」
「いってらっしゃ~い!気をつけて楽しんできてね~!」
そんな気持ちを、斗真が察してくれる訳もない。
のんきなお母さんの声を背に、私は引きずられるように駅へ向かった。
気づいたら朝になっていた。
ピンポーンと家のチャイムが鳴り、お母さんの私を呼ぶ声が聞こえる。
「杏奈~‼斗真くん、迎えに来たわよ‼」
だから、誰も頼んでないって。私は心の中で文句を言いながら、荷物を持って下に降りる。
玄関には斗真が立っている。いつもと違うのは、制服じゃないこと。私服の斗真を見ていると、まるで斗哉くんみたいで……
「今日は準備できてんな。行くぞ、杏奈」
「行こうと思ってたらアンタが来ただけ。私ひとりで駅まで行くから、斗真は先に行って」
「は?何言ってんだよ。同じ方向だろ。準備できてんなら行くぞ」
「いいから先に行ってよ‼」
なんか一緒にいたくない。でも……
「お前に話したいこともあるんだ。行くぞ」
「ちょっと、手はなしてよ……斗真っ‼」
「いってらっしゃ~い!気をつけて楽しんできてね~!」
そんな気持ちを、斗真が察してくれる訳もない。
のんきなお母さんの声を背に、私は引きずられるように駅へ向かった。