お菓子な男の子
駅に着いたのは私たちが一番最後だった。花梨ちゃんに文句を言われながらも、みんなでお菓子などを買いそろえ、電車に乗りこんだ。
必然のように私から斗真は引き剥がされ(誇張)、男女別に席に座った。


お昼を少し過ぎた頃、電車は目的地近くにたどり着いた。そこからバスに乗り換えて1時間以上……そして今、やっとペンションのある山のふもと。


「ここからはロープウェイに乗って行くぞ。20分ほどでペンションに着くはずだ。テンションがあがるな」


久喜会長の張り切った声が飛ぶ。ペンションや往復経路の手配をしてくれたのは久喜会長。
よっぽどこの合宿を楽しみにしていたんだろう。


「一臣はなんか楽しそうだな。俺はもう、乗り物で疲れたよ」
「会長さんからテンションなんて言葉出てくると思わなかった」
「それほど興奮してんだよ、アイツ。でもさ、マシマリョくんも、もう少し楽しそうにしてもいいんだよ?」
「ムリ。チヨ先輩たちがいる限り」
「相変わらずだなぁ」


真島くんと千夜先輩は仲悪そうに見えるけど、話してること多いんだよね。
やっぱり仲いいんじゃないかなぁ。この合宿でいい方向になればいいけど。


斗真はその後ろにただ突っ立ってるだけ。少しずつ溶け込んできたように思ってたけどなぁ。
斗真は真島くんとなんで仲良くできないんだろう。幼稚園から一緒なのに。“……だから一番できないんだ”って言ってた。どうして?


「ロープウェイ……私乗りたくない」
「どうしたの?花梨ちゃん」
「高いとこ怖い……怖いってカズちゃん知ってるのに……」


隣では花梨ちゃんが青い顔をしている。珍しくリンゴが気遣う。


「さぁ乗ろうか、ロープウェイに!」


やっぱり久喜会長だけが張り切っている。
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