お菓子な男の子
「よし、みんな集まったな!夜はイベントもあることだし、ちょっと早いけど夕飯にしようか!」
リビングに全員が集まると、千夜先輩は部長らしく号令をかけた。斗真が渋い顔をする。
「イベントってなんだよ」
「コンペイくんは何しにここに来たの?」
「杏……いや別に」
「まったくこれだからさ……これは天文部の合宿だよ?天文部といったら……」
千夜先輩はなぜか私をちらっと見る。え?なに?私なにか……
「きもだめしでしょ」
「なんでそうなるんですかっ‼‼」
天文部とまるで関係ない。千夜先輩は私につっこんでほしくてこっち見たの?
「天文部はそこまで盛んに部活をやっているわけじゃない。だから部員の仲、とくに男女の仲が希薄な気がする。そこで、仲を深めるため、強いて言えば杏奈ちゃんと俺の仲を深め……」
「夕飯は何にする?俺はバーベキューがやってみたい」
「一臣!俺の話をっ……」
さりげなく、久喜会長がしきり始める。ついでに希望まで……
「ベタ、だね」
「だからいいのだろう?俺はやったことがないからな。遠山はあるのか?バーベキューの経験が」
「カズちゃん家ほど世間離れしてないから」
「すごいな!」
久喜会長は尊敬でもしているかのような目で花梨ちゃんを見た。家柄、というよりも久喜会長自身が世間離れしてる気がする。
こんなあいまいな話し合いで、夕食はバーベキューに決まった。男の子たちは道具を準備しに外へいった。
残った私たちは食材の下ごしらえを始めたんたけど……
「アンちゃん先輩って不器用なんですね」
「う……ほ、包丁って難しいじゃない?」
普段料理なんてしない私には野菜を切るのも時間がかかる。確かに花梨ちゃんは上手に見えるけど……
「そんなんじゃ、いいお嫁さんになれませんよ。あ、リンゴちゃん先輩は勉強できないですけど料理はどうなんですか?」
「花梨ちゃんって帰国子女抜きにしてもはっきり言うよね……。リンゴは料理すごくうまいよ。ね、リンゴ!ってリンゴ?どうしたの?元気ないみたいだけど」
千夜先輩たちや目の前の野菜に気をとられて気づかなかったけど、リンゴの様子は明らかに変だった。野菜はきれいに切られていくけど、表情ににまったく心がない。
「………別に」
「別にって……いつものリンゴらしくないよ?」
部屋に行くまではあんなにはしゃいでいたリンゴが、そういえばリビングにきてからは一言も発していない。
気にはなる、でも無理に聞き出すのはただの好奇心と変わらない。
「わかった。話したくなったら教えてね、リンゴ」
「………っ」
リンゴは泣き出した。
リビングに全員が集まると、千夜先輩は部長らしく号令をかけた。斗真が渋い顔をする。
「イベントってなんだよ」
「コンペイくんは何しにここに来たの?」
「杏……いや別に」
「まったくこれだからさ……これは天文部の合宿だよ?天文部といったら……」
千夜先輩はなぜか私をちらっと見る。え?なに?私なにか……
「きもだめしでしょ」
「なんでそうなるんですかっ‼‼」
天文部とまるで関係ない。千夜先輩は私につっこんでほしくてこっち見たの?
「天文部はそこまで盛んに部活をやっているわけじゃない。だから部員の仲、とくに男女の仲が希薄な気がする。そこで、仲を深めるため、強いて言えば杏奈ちゃんと俺の仲を深め……」
「夕飯は何にする?俺はバーベキューがやってみたい」
「一臣!俺の話をっ……」
さりげなく、久喜会長がしきり始める。ついでに希望まで……
「ベタ、だね」
「だからいいのだろう?俺はやったことがないからな。遠山はあるのか?バーベキューの経験が」
「カズちゃん家ほど世間離れしてないから」
「すごいな!」
久喜会長は尊敬でもしているかのような目で花梨ちゃんを見た。家柄、というよりも久喜会長自身が世間離れしてる気がする。
こんなあいまいな話し合いで、夕食はバーベキューに決まった。男の子たちは道具を準備しに外へいった。
残った私たちは食材の下ごしらえを始めたんたけど……
「アンちゃん先輩って不器用なんですね」
「う……ほ、包丁って難しいじゃない?」
普段料理なんてしない私には野菜を切るのも時間がかかる。確かに花梨ちゃんは上手に見えるけど……
「そんなんじゃ、いいお嫁さんになれませんよ。あ、リンゴちゃん先輩は勉強できないですけど料理はどうなんですか?」
「花梨ちゃんって帰国子女抜きにしてもはっきり言うよね……。リンゴは料理すごくうまいよ。ね、リンゴ!ってリンゴ?どうしたの?元気ないみたいだけど」
千夜先輩たちや目の前の野菜に気をとられて気づかなかったけど、リンゴの様子は明らかに変だった。野菜はきれいに切られていくけど、表情ににまったく心がない。
「………別に」
「別にって……いつものリンゴらしくないよ?」
部屋に行くまではあんなにはしゃいでいたリンゴが、そういえばリビングにきてからは一言も発していない。
気にはなる、でも無理に聞き出すのはただの好奇心と変わらない。
「わかった。話したくなったら教えてね、リンゴ」
「………っ」
リンゴは泣き出した。