お菓子な男の子
みんなが並んで立ってもスペースが余るくらい広すぎるキッチンで、食材の準備を再開した。倒れこんでいた3人も立ち上がり、言い合いながらも手を動かしている。
私よりも包丁さばきが上手いのは……気にしない!


準備を終えた私たちは外に出た。大きなバーベキューコンロはいかにもの雰囲気があって、実はバーベキューをしたことなかった私も、少なからずテンションが上がりはじめていた。


「さ、肉食うぞー」
「コンペイくんお肉ばっかだから迷惑なんだよね」
「なんだよ、バーベキューは肉だろ。それ以外何食うんだよ」
「さっき切ってたのは何」
「あ?野菜?あれは飾りだろ」


そういえば斗真もバーベキューやったことなかったっけ。小さい頃は家族ぐるみで付き合ってたから、私がやったことないなら斗真もそうかもしれない。それにしても……だけど。
千夜先輩が近づいていく。


「何も知らないコンペイくんのために、俺が教えてあげよう」
「いやいい」
「即答しない。まずバーベキューは串に肉と野菜をバランスよく刺して、次にこの網の上に乗っけて焼く……それだけだよ」
「説明いらねぇな」
「海鮮やとうもろこしもいいな。焼おにぎりもできるな!これも焼いてみようか!」


その横で、久喜会長はいろいろなものを焼いている。え……スナック菓子が……


「ちょ……一臣!何焼いてんだよ!」
「この串焼けたな」
「コンペイくん勝手に手を出さな……」
「私もいっただっきまぁ~す!」
「林檎ちゃんも待っ……」
「あれ?なんかこの串変だよ?」


久喜会長を止めようとしてた千夜先輩の制止を聞かず、手を出した食いしん坊の斗真とリンゴ。一口目を盛大にほおばったリンゴが、串の先端を見て首をかしげている。
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