お菓子な男の子
「はぁ……もういいよ。みんな好きに食べようか」


千夜先輩がため息をつく。それを皮切りに、それぞれが網の上の串を取った。ちょうど7本、人数分だけ焼いてたみたい。
一番上のお肉を食べた。んっ、あつあつでおいしい!……ん?


「黄色……?」


リンゴが変だと言った理由がわかった。串の先端に色がついている。


「私は緑色です」
「アンちゃんとも花梨ちゃんとも違うー!私は赤!」


なんだろう、この色分け……


「マシマリョくん、俺のほうが肉も野菜もいい具合に焼けてるみたいだから交換してあげるよ」
「別にいい。チヨ先輩近づかないで」
「まぁそう言わずにさ」
「こっちこないで」


千夜先輩がしつこく真島くんに絡んでいるのが見えた。遠目だけど、千夜先輩のは緑色で真島くんのは黄色……私と同じだ。


「あの……千夜先輩?この色分けって……」


もめあう2人に割り込み、ケンカ発展を止めつつ聞いてみた。一瞬止まった千夜先輩は、次の瞬間にはにっこり笑っていた。


「ん?色分け?そんなのしてないよ?こういうデザインの串がこのペンションに用意されてたから使っただけ。それだけだから気にしないで」
「いや、あんな盛大なため息と、今真島くんともめてた事実から考えたら、絶対何かあると思うんですけど」
「ほんとに気にしなくて大丈夫だよ?さ、次々焼こう!」


明らかに話をそらすような千夜先輩の態度。怪しすぎる……
とその時、久喜会長の声が響いた。


「おっ、俺は赤か!赤だった人はいないか?赤は3人分作ったはずだ」
「「「作ったぁ?」」」


そこに私たちの声が重なる。


「か、一臣?余計なことは……」
「チヨは緑……お、遠山と一緒か!諸星は黄で雨宮が赤……ちょうど男女ばらけたな!これできもだめしも盛り上がりそうだ」
「一臣っ‼」


楽しそうな久喜会長と対照的に慌てる千夜先輩。なるほど。2人で仕組んだことだったんだ。
……ってきもだめし!?やっぱやる方向だったの!?
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