お菓子な男の子
「別にいいよ、交換しても」
「ほんと?ありがと、アンちゃ……」
「だめだよ、林檎ちゃん」


私たちの交渉に割り込んできた真島くん。なんだか機嫌がいいように見えるけど……


「え……でも……」
「林檎ちゃんと杏奈ちゃんが交換したことを知ったら、チヨ先輩どうなると思う?それにさ、これは不意打ちみたいなものだったけど決まったことは守ったほうがいいと思うんだ。僕はそういう人が好きだなぁ」


確かに、ようやくおとなしくなった千夜先輩がまた騒ぎだしそう。
でもリンゴにとっては、最後の一言が決め手になった。


「そうだよね!私もズルとか嫌いなの!斗真くんと一臣会長さんかぁ。仲良くなれるかな!」
「それがこのイベントの目的らしいからね」


リンゴってほんと単純。真島くんにあっさり丸めこまれて……ってこれ、真島くんとペア確定だよね……
真島くん、私と一緒でいいの……?


わたしにとって、真島くんは今一番気まずい人だ。クレープを食べに行った時の言葉も、斗哉くんと動物園行った時の行動も、その真意はわかっていない。だからこそ、2人きりになるのがちょっと恐い。
付き合いは長いはずなのに、考えていることが分からないなんて……


「さ、早く食べないと、コンペイくんと会長さんに全部持っていかれちゃうよ」
「ほんとだ!ちょっと斗真くん食べ過ぎー!」
「ほら、杏奈ちゃんも」
「え!?あ……う、うん……」


肩をポンっと叩かれ、我にかえった。離れていく真島くんの背中を見ても、何もわからない。
なんだかすっきりしないまま、バーベキューは過ぎていった。
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