お菓子な男の子
そこは小高い丘のようだった。周りは木々が生い茂っているのに、ここだけぽっかりとあいている。
そして……


「すごい……」


木がなくなりやっと見えた空は、満天の星空だった。出発前は曇っていたのに……まるで異世界に迷いこんだような気分だ。
心が乱されるようなそんな気持ちにさせるのは、それだけじゃなかった。


「流れ星……あ、また……そこにも……」


これは……


「ペルセウス座……流星群……?」


 ――――――――――― 杏奈 6歳 ――――――――――――――
「パパ、どこに行くのー?」
「すごくきれいなところだよ。さぁ行こう」


いつもなら寝る時間なのに、パパと一緒に車に乗った。
車に乗ったら眠くなって、私はすぐに寝てしまった。


「杏奈、杏奈。起きてごらん。すごいから」
「んん………う~ん……眠いよぉ……」
「ほら、目を開けて」


気づいたときには車の外だった。パパに抱っこされてる。
パパに言われたとおり、眠い目をこすりながら開けた。


その瞬間、目に飛び込んできた景色に、眠気は全部ふっとんだ。


「パパ見て‼お星さまがいっぱいだよ‼あっ、キラッていった‼」


お星さまが雨みたいに降ってくる。キラキラきれいで、夢の国にいるみたい。夜は真っ暗なのに、パパの顔がよく見える。なんか……うれしい。


「杏奈、あれは流れ星っていうんだよ。今日はペルセウス座流星群がよく見える日なんだ」
「ペ……ンギン?」
「はははっ、ちょっと難しいね。杏奈にいいことを教えよう。流れ星はね、願い事を叶えてくれるんだ」


願い事が叶う!?私の心はもっとドキドキした。


「なんでも!?」
「そうだよ。杏奈は何をお願いする?」
「えーと……えっとね………あっ‼」
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