お菓子な男の子
「パパとずっと……一緒にいられますように………」


あの時の願い事。なんでも叶うってお父さんは言ったのに、叶わなかった。あれからすぐに、お父さんは私のそばからいなくなった。
約束を破った星を、私は憎んだ。でも大好きだったお父さんの言葉を信じたかった。だから星を好きになろうとした。


斗哉くんと遊園地に行った日、星が好きなんじゃない、ただ星に囚われているだけだと言われた。悲しそうだって。本当は苦しいんじゃないかって。


そのあとに私のことが好きだって言われてあの時は深く考える余裕がなかったけど、本物の流星群を見て思う。


………苦しい。


流星群はきれいだ。6歳の夏の夜と同じ。雨のように星が降ってきて幻想的。暗いはずの夜なのに少し明るく感じる。それなのに、隣にお父さんはいない。なんでも願い事を叶えてくれる流れ星はたくさん見えるのに、ただ一つ叶えてほしい願いは叶わない。


横を見ても、私を安心させてくれるお父さんの顔は…………え……?


「お父……さん?」


星明かりに、お父さんがいた。
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