お菓子な男の子
杏奈に出会ったのは幼稚園の時だ。もちろんそんな小さな時のことをすべて鮮明に覚えているやつなんていないけど、断片的に残っている記憶はある。
真島と諸星……出席番号的なものが近かった俺たちは、入園式で手をつないでいた。それは写真にも残っていた。杏奈の顔は俺の母さんに黒く塗りつぶされて、名札でしか判別できなかったけど。
確か入園式がきっかけで仲良くなっていったはずだ。必ず金平がそばにいて、3人でいることが多かったと思う。
俺はまだ何も知らなかった。ただ純粋に、3人でいるのが楽しかった。
毎日が楽しかったんだ。
“斗真、亮くん、今日は何して遊ぶ?”
いつもの杏奈の決まり文句。俺たちが集まる合言葉。
そういえばいつからだろう。杏奈が俺を“真島くん”って呼ぶようになったのは。
昔の記憶はあいまいになっていく。でも1つだけ、絶対的な記憶として残っているもの。
俺は、杏奈が好きだった。
真島と諸星……出席番号的なものが近かった俺たちは、入園式で手をつないでいた。それは写真にも残っていた。杏奈の顔は俺の母さんに黒く塗りつぶされて、名札でしか判別できなかったけど。
確か入園式がきっかけで仲良くなっていったはずだ。必ず金平がそばにいて、3人でいることが多かったと思う。
俺はまだ何も知らなかった。ただ純粋に、3人でいるのが楽しかった。
毎日が楽しかったんだ。
“斗真、亮くん、今日は何して遊ぶ?”
いつもの杏奈の決まり文句。俺たちが集まる合言葉。
そういえばいつからだろう。杏奈が俺を“真島くん”って呼ぶようになったのは。
昔の記憶はあいまいになっていく。でも1つだけ、絶対的な記憶として残っているもの。
俺は、杏奈が好きだった。