お菓子な男の子
自分が吐いた言葉が頭の中を駆け巡る。
わずかに残っていた星に対するまっすぐな想い。目の前で泣く女の子を気まぐれになぐさめるために出た言葉かもしれない。


でも今、この星空を見て思う。あの時の言葉は嘘じゃない。


「俺、星が好きなんだ」


自然と言葉が出た。


「星に憧れてた。いつ消えるともわからないのに一生懸命輝いていて、力強くて。星同士がつながって星座を作るように、俺も誰かとつながっていたかった。でも俺にはそれができなかった。自分で壊したんだ。あんなにも求めていたはずなのに。母さんとも杏奈とも……」


俺の星座はもうどこにもない。


「壊れてなんかいないよ」


その言葉に、俺は雨宮を見た。雨宮も空を見上げていた。


「きれいだね、星空。さっきまで雲に隠れてたのに。亮輔くんもおんなじだよ。今は雲に隠れていても、必ず晴れてきれいな星座が見える。ちゃんとつながってるよ?お母さんともアンちゃんとも、私たちとも……」


涙が頬を伝っていくのがわかった。
雨宮の言うことがただのなぐさめだとしても、俺には特別なものに聞こえた。
黒く染まった俺でも、まだ信じていていいのか?


「俺は……」
「ねぇ亮輔くん。私、伝えたいことがあるの」


涙でにじむ俺の視線と、強い雨宮の視線が交わった。
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