お菓子な男の子
最寄り駅に着くとみんなバラバラ。千夜先輩たちは電車を乗り換えていった。改札を出るとリンゴは西口、残る私と斗真と真島くんは東口だ。


「それじゃね、リンゴ。また連絡する」
「うん。じゃあね、アンちゃん。斗真くんと亮輔くんも」


手を振り歩いていくリンゴの肩を、誰かがつかんだ。


「え……?」
「僕も西口に用があるんだ。一緒に帰ろうか、林檎ちゃん」
「う、うん!亮輔くんと一緒に帰れるなんて嬉しいな!」


2人は駅の雑踏の中に消えていった。真島くんに声をかける暇もなかった。
もう見えない背中を探し見つめることしかできない。


「帰るぞ、杏奈」
「うん……」


斗真に言われて、やっと足を動かした。荷物がやけに重たく感じる。


「杏奈大丈夫か……?」
「これくらい大丈夫だよ。持てる」
「違う、荷物のことじゃねぇよ。真島とのことだ」
「え……どうして……」


どうしてそれを斗真が……


「別に。ただ何となく気になったんだ。お前と真島、なんか変な感じがした。真島も最近おかしかった。だからお前らになんかあったんじゃねぇかと思っただけだ」
「……変に鋭いんだから」


他人のことなんて気にしないような態度ばかりとってるくせに、こういうことにはすぐ気づく。そこはやっぱり斗哉くんと似ているな。
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