お菓子な男の子
教室に入ると、真っ先に飛びついてきたリンゴ。


「アンちゃ~んっ!亮輔くん、亮輔くん来たよ!学校に来た!」
「落ち着いてよ、リンゴ。知ってるから」


嬉しそうなリンゴに、私の顔もゆるんでしまう。
本気で心配してたもんな、昨日のリンゴ。亮くんにも飛びついてたりして……


「びっくりしたよ。教室に入るなり林檎ちゃんに抱きつかれて。俺より周りが驚いてたけど」
「あははっ、やっぱり」


思っていた通りの行動に、驚きより笑いがこみあげる。
でもよかった。私たちもう戻れないって思ってたから。
また前みたいに笑い合えているこの時が、こんなに嬉しいなんて。


「さぁ席につけよー!朝学習始まるぞー!」


突然の先生の声にハッとする。教室に来たことにも気付かなかった。


「アンちゃん、2人きりで話したいことがあるんだ。今日の放課後は絶対一緒に帰ろうね!」


後ろの席から、リンゴの小声が聞こえた。
私は振り向かずにうなずいた。


話したいことってなんだろう……?
< 178 / 181 >

この作品をシェア

pagetop