お菓子な男の子
「アンちゃん帰ろっ!」
「ごめん、掃除当番だから少し待ってて」
「うん、わかったー」


放課後を心待ちにしていたようなリンゴ。
でもその顔はどこか真剣そうだった。


「おまたせ」
「帰ろ、帰ろー」


廊下で待っていたリンゴに声をかけ、一緒に校門を出た。
あんなに何かを話したそうにしていたのに、ここまで何も話してこない。私から切り出せばいいの?


「ねぇ、リンゴ……」
「今日さ、ウチにこない?ウチで話そ」


かぶってしまった。


「あ……リンゴん家か。なんか久しぶりな感じだね」
「そうだよー!合宿の後の夏休み、アンちゃん1回も遊びにきてくれなかったんだもん!」
「そうだったね。ごめん、ごめん」


なんだ、いつものリンゴだ。
確かに2人きりで話をするなら、リンゴの家がいい。ウチは今日、お母さんが仕事休みで家にいるし。


いつもの駅で電車を降り、私の家とは逆方向のリンゴの家に向かった。
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