お菓子な男の子
本気でキレてる斗真と、静かにキレてる真島くんと、笑顔でキレてる千夜先輩。
どんなキレ方でも、危ない状態に変わりはない。でも止め方が……


「アンちゃ~ん!遅くなってゴメンね~っ‼‼」
「リンゴっ‼」


ナイスタイミング‼雨なんて気に止めない様子で走ってくる頼もしい姿。あんまり空気の読めないリンゴが来てくれればっ‼


「あぁ~っ‼亮輔く~ん‼ホントに来てくれた~っ‼嬉しいっ……て、あれぇ?斗真くんがいる~?一緒なんだ?あ、煌先輩、おはようございます。ねぇアンちゃん!とうとうオープンだよ‼見た目あんまり変わらないよね?ほら、あの屋根の部分とか‼」


ここまで一気にしゃべっても、息ひとつ切れていない。リンゴのとびっきりの笑顔とテンションの高さに、3人の男の子は圧倒されたかのように黙った。


「ん?みんなどうしたの?」
「おはよ、リンゴ。そして、ありがとう」
「どういたしまして?」


リンゴは不思議そうだけど、説明も面倒だし、馬鹿らしいし。
やっと心を落ち着けられた。時計を見たらあと少しで8時半。オープンは9時だから……!?


「ちょっと‼‼早く並ばないとリニューアルオープン限定記念品もらえないじゃん‼‼先着順なんだよ!?」
「杏奈が家出るの遅ぇから……」
「あんたたちが喧嘩してるからでしょ!?」
「僕走るから‼」


真っ先に真島くんが走り出した。


「あっ、待て‼」


それを追うように斗真が走っていく。


「大丈夫だよ。俺が絶対にGETして見せるから」


千夜先輩がすごい勢いで2人を追い越していく。


「慌ただしい人たちだね。亮輔くんはかっこいいけど!」
「そーだね」


嬉し疲れる1日になりそうだ。いや、なってる……?
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