お菓子な男の子
私たちも小走りで入口へと向かった。近づくごとに、行列のすごさを目の当たりにする。
先着100名ってネットには書いていた。これ、間に合うのかなぁ…


「みんなどこにいるのかなぁ」
「とりあえず最後尾目指さして行こう。千夜先輩でかいから目立つはず…」
「諸星!雨宮!こっちだ」
「ふんっ!?」


聞き覚えのある声。でもいるはずのない声。それを頼りに見渡すと、でかいメガネがあっ……メガネをかけた大きな人が見えた。


「久喜会長!?」
「うわぁ、煌先輩のお目付け役だ!なんでいるんだろ!」
「お目付け役って……」


リンゴって、真島くん以外の認識ひどいな。
と思いながら、目立っているのに手をあげて待ってくれている久喜会長のもとへと急いだ。


「おはよう」
「お、おはようございます。久喜会長、どうしてここに?」
「チヨから明日、ここに来ると聞いたんだ。ネットで調べたら、先着順でもらえる記念品があると知ってな。チヨは計画性がないから多分100名以内は無理だろう。代わりに俺がもらい、売りつけようと思ったわけだ」


さすがお目付け役。千夜先輩のことよく分かってらっしゃる。
でも売りつけようって…


「きっと君にあげるために、買い取ってくれるはずだからな」
「え?私に?」


そんなことないと思うけどなぁ。何かと絡んではくるけど、金銭絡んでまではこないと思う。


興味なさげなリンゴが口を開いた。


「煌先輩はいいんですけど…亮輔くん、こっちに来ませんでしたか?」
「亮輔?誰だ、それは」
「「え?」」


問題発生。久喜会長、まさか……


「じ、じゃあ斗真!斗真来ませんでした?」
「斗真?変わった名前だな」


“一臣”も十分‼ってか会長、千夜先輩以外の男の子、知らないんじゃ……


「あぁ、チヨなら最後尾に向かって走っていったな。その亮輔とか斗真っていうのは、後ろを走ってた小さいやつらか?」


見たんだね。そして、声かけなかったんだね。
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