お菓子な男の子
「杏奈ちゃんと林檎ちゃん、その手にあるのって……」
「冬のマグカップだよ!きれいでしょ~、この空」
「お前ら記念品もらえたのかよ」
「うん。久喜会長にいれてもらったんだ!さすが会長だよね。記念品安全圏内だったよ」
「じゃあこれ……いらない?」


真島くんが袋から取り出したマグカップは春の夜空。
私が夏、久喜会長もとい多分千夜先輩が秋、リンゴが冬……そろった‼


「杏奈ちゃん!約束通り、マグカップGETしたよ!」
「ずいぶん値切ってくれたがな」
「3000円も十分だよ!一臣、もともとその値で売るつもりだったろ!っておい!」


つん、とそっぽを向く久喜会長。千夜先輩といると、なんか楽しそう。和やかに2人を見つめる私の視線に気づいたのか、久喜会長は微笑んでくれた。
それがちょっと嬉しく感じた。いつもクールな人だから、笑っててよかった、みたいな感情。親心的なものかな?


「とりあえずマグカップの話はあとにしよ!プラネタリウム始まっちゃうよ‼1回目、45分からなんだよ?」


リンゴの言葉に時計を見ると、9時32分。


「やばっ!行かなきゃ!」
「別に2回目でも良くねぇか?」
「私はオープン初回が見たいの!興味ないならこれ払い戻してお金置いて帰れ、斗真」
「そうだね、帰んなよ」
「うるせぇよ、真島‼」
「はいはい、喧嘩はあとあと」


珍しく、千夜先輩が制した。


「俺たちの分も、券買ってくれたの?ありがとう」
「煌先輩たちが来るの遅いからですよ!初回は競争率すごいんですからね!」
「あ、あぁ、ごめん……」
「さ!最上階まで走りますよ~‼」
「「「走るっ!?」」」
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