お菓子な男の子
「あ、これ鑑賞券!」


まとめて持っていた鑑賞券をみんなに配った。これは席も指定されている。購入時に、映画館みたいに指定できるのだ。
そのことは内緒にして……あっ、来たことのある千夜先輩は何か言いたげだけど……


「さ、入りましょう‼」


時間も時間だし、早く決められた席に着きましょう‼



入口ゲートのチェックを終え、男の子たちは券に書かれた番号と照らし合わせながら歩いている。
私たち女の子はもう知っているから、一目散に席に着いた。
私はリンゴと隣どうし。そして残り4人は……


「隣が男って、全然萌えないな」
「僕だって、チヨ先輩が隣とかサイアク」
「チヨの隣……よかった」
「会長、その言葉あやしいっすよ」


後ろに座ってもらいました。斗真、久喜会長、千夜先輩、真島くんの順が一番安全だと判断した。


やっと見れる。プラネタリウム。大好きな大好きな星が頭上いっぱいに広がるんだ!
会場が暗くなる。ドキドキが大きくなる。リクライニングシートを倒し、その瞬間を待った。


「ようこそ。星が織り成す幻想の世界へ」


何度も聞いたこの言葉が、私を興奮させる。ふと、あの夏を思い出した。
お父さんに連れられて、眠い目をこすって行った丘の上。促されるまま見た夜空にちりばめられた光。眠気なんて吹っ飛んで、その美しさ、壮大さに目を奪われた。
昼よりも明るくて、お父さんの顔が見えて安心した。


「きれい……」


今、眼前に広がる夜空は少し揺らいでいた。
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