お菓子な男の子
一通り見て回った頃には、もう夕方になっていた。閉館時間も近づいている。


「じゃあ今日は解散ということで!雨もすっかり止んでよかったね!」
「コンペイくんが帰ったときは、まだどしゃ降りだったけど」
「斗真は日頃の行いが悪いから」


いない人の悪口で笑いあい、自然と足が帰り道に向いた。なんだかんだ、楽しい1日だった。


「俺はチヨに連絡とってから帰る」
「じゃあお先に帰ります。また学校で!」
「またね!」
「2人とも気をつけてね!」


よかった。プラネタリウム館に来て……





あれから何日か過ぎた。私たちの中ではもう思い出になっているプラネタリウム館での1日。
また天文部の活動もなくなって、いつも通りの生活だった。


「アンちゃん、次古典でしゅね~」
「もう古いよ、そのネタ。笑えなくなっちゃった」
「じゃ~ん!新バージョン‼」
「ぶはっ……」


もう嫌がらせとしか思えない絵に、不覚にも笑いがこみあげる。
頭に花咲かせてる宇宙人って、すでに先生の欠片もなくなってるけど……


「もうリンゴ!古典をバカにするのも大概にし……ん?」
「どうしたの?……あ、携帯ぶるぶるしてる」


お昼休みの今は、たいていの生徒は携帯を使用している。例外じゃない私たちも、この時間だけは電源をいれていた。


「あ、煌先輩だ。珍しいね、ツール使ってくるの」
「だね。いつも教室来るのに……部活のお知らせ、だってさ」
「なんかテンション低いね、この内容」
「“部活あり。休みたい”って…なんの願望?」


メールよりも、いつもみたいに教室にしつこく来ないことが不思議だった。
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