お菓子な男の子
「アンちゃん!ビッグビッグ大ニュース‼」
「どうしたの?」


教室に入った途端にリンゴが飛びついてきた。
こういう時のリンゴの扱い方はもう慣れてる。こっちが落ち着くこと。そうじゃないと相乗効果でリンゴのテンションは際限なく上がっていくから。まあ私のお母さんと同じだね。


「テスト範囲出たよぉ‼」
「だろうね」
「えっ!?知ってるの!?驚かないの!?」
「授業でも朝のショートの時間にも、先生さんざん言ってたじゃん」


そろそろテストだって。2週間前にすべての教科の範囲を掲示するって。
今日からちょうど2週間後に定期考査が始まる。地獄の4日間が。


「ほんとイヤだよねぇ、テストって響き」
「ね。あ、でも午前中で帰れるのは嬉しい!」
「楽観的思考だね、リンゴ」
「ポジティブって言って!」
「いやいや同じだから」


この学校はちょっとした進学校だから、それを意識してるのか、テスト範囲は意外に広い。でも予習復習みたいな当たり前のことを普段からしていれば、あと問題集だけで赤点にならないだけの点数はとれる。


私はそんなに勉強が嫌いじゃないからいいけど……。


かばんから携帯を出しながら、リンゴがつぶやく。


「あのさぁ」
「……なに?」


この展開も十分慣れてる。


「勉強……教えて?」
「はぁぁぁ……」


今回はどのくらい付き合わされるんだろう。
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