お菓子な男の子
「どうにか間に合ったね」
「はぁ…はぁ……なんで息…切れてな…いの、真島くん……」


ドアが閉まる直前、タブーとされる駆け込み乗車でなんとかなった。
この電車には斗真も乗ってるはずだけど…同じ車両でもこんなに混んでちゃ分かんないや。


斗真は背があるけど、私は150㎝ギリギリ。見上げても、真島くんと知らないおじさんしか見えない。うわ、目合っちゃったよ…


逆にアッチにも、私は埋もれてて見えないと思う。


「うひゃあ‼」


またくだらないこと考えていたら、今度は急に誰かに肩に手を回された。
何!?さっき目合っちゃったおじさん!?ち、痴漢!?


「今日はコンペイくんじゃなくて、マシマリョくんと登校?妬けちゃうなぁ、俺」
「せ、千夜先輩…ですか……」


あきれ顔で見上げた先にいたのは千夜煌(せんやこう)先輩。同じ天文部の人。何かと私に絡んでくる、ちょっとウザい人だ。
うわ、すっごいスマイル。これに泣かされた女の子は何人いるんだろう。


「チヨ先輩、離れて。杏奈ちゃん迷惑してる。邪魔」
「なぁに?マシマリョくん、やきもち?」
「真島です。やきもちじゃない。杏奈ちゃんのため」
「ふぅ~ん。すごい顔してるけど?」


あの、私ごしの喧嘩はやめてください。一番迷惑です……
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