お菓子な男の子
確かにボランティア参加者には特典ありって書いてたけど……
今の私はそんなのにはだまされないよ‼‼


「気になる特典は、なんと……」
「「なんと……?」」


だまされな……


「流星群観光ツアーのペンション宿泊券です‼」
「「えっ‼!?」」


……いと思ってたけど


「夏休みにみんなで流星群見に行きましょ?おじいちゃん、大奮発してくれたんですよ?」
「うわぁ!うわぁ!絶対行きたいよぉ!私ボランティア頑張るっ‼」
「流星群……」


あの夏がよみがえる。あれから本物の流星群は見ていない。
お父さんが隣にいないことを信じたくなかったから……


「どうしたの?アンちゃん……」
「え、あ、あぁ……うん、何でも……」
「杏奈ちゃん、大丈夫?」


リンゴと千夜先輩が心配そうに私を見ている。
あわてて咳払いをしてごまかした。


「大丈夫です。ボランティアやるかどうか、ちょっと悩んでるだけで」
「アンちゃん先輩はそんなにテスト不安なんですか?」
「えと……りゅ…じゃなくて、リンゴが心配だから……」


ごまかした。


「私なら大丈夫だよ、アンちゃん!ちゃんと勉強するから!ね、だからやろっ‼」
「う、う~ん……」
「ねぇ、俺3年なんだけど。俺のことは考えてくれないの?」
「コウちゃんは天才だもん!」


目を輝かせている2人を見たら、私に与えられた選択肢は1つしかないように思えた。
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