お菓子な男の子
プラネタリウム館に着くと、明るい雰囲気の女性が受け入れてくれた。いつも受付をしている人だ。


「人数バッチリ!連れてきてくれてありがとう、花梨ちゃん」
「このくらい任せといて、シュウちゃん!あ、この人たちは、私も入ってる天文部の先輩たちなの。3人くらい違うけど気にしないで」
「わかったわ。よろしくね、みんな」


私たちに笑顔を向けてくれている女性は、栗村周子(くりむらしゅうこ)さん。今回のボランティア担当者、つまり私たちのお世話をしてくれる。


「急に来てもらった上にハードスケジュールでごめんね。遠山館長、無計画な人だから……。あ、天文学に関しては尊敬できる人なのよ?でもやっぱり今回みたいな適当なことは困るわよね。みんなにも迷惑かけちゃって……無理なことはさせないわ。裏方の地味な作業が多いかもしれないけど頑張ってね……って私ばっかりペラペラしゃべっちゃってごめんなさい!そうだわ、学校の制服のままってわけにはいかないし着替えてもらって……男女混合はマズいわよね。男子の更衣室遠いけどやっぱり……」


栗村さんはいつまで一人で話しているんだろ。
もう内容もよく聞こえなくなってきている。


「シュウちゃん、1回落ち着こうよ」
「え?あ、ごめんなさい……」


やっと言葉の猛襲が止んだ。1度深呼吸をして、栗村さんは私たちに向き直した。


「私、話したいことをまとめるのがちょっと苦手なの。だから紙に書いたのをすっかり忘れてたわ。えっとまず……はい、これに着替えてください」


手渡されたのは、職員用の制服だった。
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