お菓子な男の子
着替え終わるとさっそく仕事が割りふられた。


私とリンゴは受付で、来館したお客さんの人数を数えたり、聞きにきた人に館内の案内をしたりすることになった。


千夜先輩はプラネタリウムの上映中に何かあったら対応する係。ずっと会場内にいて、何度も繰り返し上映を見ることになる。


斗真と真島くん、久喜会長は事務業務。来月行われる星の観察会とプラネタリウム特別上映会、天文特別講演会やちびっこ星空探険隊などの6枚のイベントポスターを制作する。結構重大。


そして花梨ちゃんは、星空体験コーナーの管理者に……なんで!?


「私、星空案内人ですから」
「星空案内人?」
「知らないんですか?アンちゃん先輩。星のソムリエのことですよ」


星空案内人、愛称“星のソムリエ”は、星や宇宙のことを説明できるガイドの資格のことらしい。天文学の知識はもちろん、星座探しや小望遠鏡を使った観察の技能、星座物語みたいな文化的な知識も持っている。


「高校生でもなれるの?」
「年齢は関係ないんですよ。ちゃんと講座も単位認定試験も受けました。これが認定証です」
「すごい!本物だ……」


認定証の写真の顔は少し幼く見える。いつ取得したんだろう。


「じゃあみなさん、お仕事お願いしますね!わからないことは何でも職員に聞いてね!名札に名前も書いてるし……あ、みんなの名札配るの忘れてた……」


こうしてボランティア1日目は始まった。
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