お菓子な男の子
平日の夜でも意外と来客数は多く、特にカップルが目立つ。


「カップルカップル、またカップル‼みんな暇なの?ラブラブなの?イチャイチャして見てらんないっ‼」
「リンゴ、文句言ってもいいから、ちゃんと人数かぞえてね」


カウンターを持つリンゴに、パンフレットの整理をしながら声をかけた。
この時間帯ともなればカップルが多くなるのは必然かもしれない、と思い直しながら、地道に手を動かす。


「ねぇアンちゃん。周子さんって若いよね?彼氏いるのかなぁ」
「いるんじゃない?かわいいし、なんかほっとけない感じの人だし」
「あ~あ!私も彼氏ほしいなぁ。どうすれば亮輔くんともっと仲良くなれるのかなぁ」
「仲良く見えるけどね、リンゴと真島くん」
「ほんとっ!?」
「ほら、お客さん来たよ。数えて」


リンゴがどういった経緯で真島くんを好きになったかはわからないけど、いやたぶん一目惚れだけど、お似合いだと思う。
何気に毎日LINEをしてるらしいし。リンゴからだけど。


「またカップルだし!1、2、3、と。でもさ、まだ仲良くなれるチャンスはあるよね!ボランティアの特典もあるし!」
「(1、2……3?)そういえば、すごく気にしてたな、斗真。特典は何なんだって」
「教えてないの?」
「だってアイツにさ、みんなで宿泊券なんて言ったら絶対来ないもん、ボランティア」


このメンバーで旅行なんて、斗真が嫌がるのは目に見えてる。宿泊券もらったって誰かにあげればいいのに、いったん手にいれたものは誰にもあげたくないっていう妙な執着心(?)を持っているから、特典を知ったら最初から手に入れない方法をとるに決まってる。


「面倒なヤツだよね、斗真って」
「誰が面倒だって?」
「!?」


いつの間にか後ろに斗真が立っていた。
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