お菓子な男の子
「そんなにヤバイ状況……なんです…か?」


聞いたけど、聞かなくてもわかる。
真島くんはため息まじりでうつむき、久喜会長はペンを持ったまま考えこんでいた。
今までを物語る、殴り書きの画用紙。あきらめと焦りの入り交じった空気。


「諸星がきてよかった。女子のほうが繊細でセンスがあって、丁寧で器用で発想力もあって……」
「杏奈ちゃんお願い。助けて?」


2人のまっすぐな視線が、私の心にささる。
ずるい……


「……手伝います。そのつもりで斗真と交代したんだから…」
「この礼は必ずするからな」
「いや別に、ボランティアの一環ですし…」
「ありがとう!杏奈ちゃん!」
「え…あぁ……うん」


こんなに喜ばれるなんて、本当に困ってたんだなぁ……
私にできることなら頑張ろう!


「ポスターって何種類作るんだっけ?」
「6。星の観察会とプラネタリウム特別上映会、天文特別講演会とちびっこ星空探険隊と認定講座開講のお知らせと……月間スケジュール表だね」


真島くんの表情は明らかに変わっていた。久喜会長にはなぜか、微笑ましそうな目で見つめられていた。
< 58 / 181 >

この作品をシェア

pagetop