お菓子な男の子
「久喜会長?どうかしました?」
「いや。では始めようか」
「じゃあまずは星の観察会の宣伝ポスターからで」


星の観察会……この時期は春と夏の境目。南の空には春の、北の空には夏の大三角が見える。もう少しすれば天の川の時期にもなるし、織姫と彦星が輝く空はそれだけで感動する。そういえば、土星もよく見えるって聞いたなぁ……


私の好きな夏の空が近づいてる。私の思い出の季節……


「よし……」


私はペンを握りしめた。




「できた!」


それから30分ほどで、私たち、もとい私は1枚のポスターを書き上げた。
我ながらいい出来だ!と思う。


「さすが諸星だな。いい仕上がりだ」
「字も絵もうまいし、杏奈ちゃんいてくれてよかった」
「そんなにほめないでよ。それにまだ1枚だし…」


ほめられるのは慣れてないけど、なんか嬉しい。


「じゃあ次!」
「次は僕も書くよ。なんとなくイメージついたし」
「俺も参戦しよう」
「あ、会長さんはやめて。さっきまでのひどかったから」
「え?そんなに?」


ちょっとずつ私たちにも一体感(?)が出てきたかなって時……


「なに騒いでるの?」


突然、女の人の厳しい声が飛んできた。
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