お菓子な男の子
「旦那様と奥様のお帰りはまだですので、こちらにお食事をご用意しております。ご来客様用は広さが落ち着きませんかと……」
「ありがとう、秋田さん」


秋田さんと呼ばれた人は私たちをダイニングルームに案内してくれた。てか広っ!来客用はもっと広いってこと?その前に食卓が2つ………執事さんってほんとにいるんだ。


夕食は急遽私たちの分まで用意したとは思えないくらいの豪華さだった。
味はもちろんおいしくて、毎日こんな生活をしてる千夜先輩に驚くことしかできなかった。


「ごちそうさま!おいしかったぁ!」
「杏奈ちゃんに気に入ってもらえてよかった」
「チヨ先輩じゃなくて山口さんに感謝します」
「……なぜかマシマリョくんの正論はグサッとくるよ」
「うまかったけど毎日は疲れんな、この飯」
「庶民舌だね、コンペイくん」
「バっ、バカにしてんじゃねぇ‼」


斗真の言いたいことはなんとなくわかる。豪華な料理、広い部屋、家族以外の存在……千夜先輩は疲れないのかな。


「今日は生徒会で疲れた。食べ終わったことだし、俺は休ませてもらおう」
「何言ってんだ一臣。食事会じゃなくて勉強会に呼んだんだぞ」
「勉強会……おぉ、本来の目的を果たしたから忘れていた」
「お前はいつでも正直だな、一臣」


千夜先輩のため息を皮切りに、私たちは立ち上がり千夜先輩の部屋へと向かった。


「じゃあ勉強組とポスター組に別れようか。ポスター組はパソコンに慣れてる俺と杏奈ちゃんと不本意だけどマシマリョくん」
「不本意はこっちです」
「勉強組は一臣と花梨と林檎ちゃん、コンペイくんでいいよね。ポスター組も終わり次第合流で」
「待って!なんで私、コウちゃんと別……」
「はい開始‼」


やっと本題の作業が始まった。
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