お菓子な男の子
頭がいいから講師に向いてる、パソコンは3台しかないから、と説得された花梨ちゃんは、ムスッとしながらもリンゴの勉強をみてくれている。2年生が1年生に勉強を教えてもらう図っていうのは初めて見たけど……


斗真はあぁ見えて勉強ができる。ときどき久喜会長に質問してるみたいだけど、順調そうだ。もともと仲の悪い組み合わせではないから私も安心できる。


「杏奈ちゃん、進み具合はどう?」
「あっ、だ、大丈夫です」


ダメだダメだ。自分のことに集中しなきゃ。なんだかんだみんなに協力してもらってるんだ。私もちゃんとやらないと。


最初は面倒に巻き込まれるのがイヤで、あまり関わりたくないと思ってた男の子たち。でも今は頼りにしてしまうことが増えてきた。同時に問題も増えてるけど。
でもひとりひとりを見てると、みんな私のことを考えてくれてたり、気遣ってくれてたり……それが重なるから問題になってるだけな気がして……


ほんとは私、みんなといる空間が居心地のいいものになってる?
このメンバーでずっといれたらなんて……


「手書きよりパソコンのほうが楽で早いね。1枚できたよ、ポスター。杏奈ちゃんはどう?」
「……え?あ、もう少しでできるよ」


だから集中しなきゃ。
私はパソコンに意識を戻した。
< 71 / 181 >

この作品をシェア

pagetop