お菓子な男の子
12時を知らせる時計の音が家中に鳴り響いた。


「ふぁ~っ、やっと終わったぁ‼」
「リンゴそうとう駄々こねてたもんね。お泊まり会ならみんなでゲームしたいって」
「真島くんとツイスターゲームしたかったのに……」
「何狙ってんの、リンゴ」
「今からでもやる?あるけど、ツイスターゲーム。杏奈ちゃん、一緒に……」
「早く寝ましょう。明日もボランティアありますし」


クローゼットの中を探し始めた千夜煌を尻目に、諸星杏奈は雨宮林檎、遠山花梨とともに部屋を出ていった。


「あ~あ、残ってんのは野郎だけか」
「それはこっちのセリフですよ、チヨ先輩」
「男だけというのも楽しいじゃないか。せっかくだ。ツイスターゲームやるか?」
「俺はパスします、会長」
「もちろん僕も」
「つまらんな」


現状になげく男たち。
久喜一臣は残念そうにベッドに寝ころんだ。大きなベッドのど真ん中に。


「待って一臣。そこで寝るの?」
「ん?ベッドはここだろう?」


その時、部屋の中に微妙な風が吹いた。
窓が閉まっているため、そんなことはないはずだが。


「チヨ先輩。まさかとは思うけど、そのベッドに4人で雑魚寝するわけじゃないよね?」
「当たり前だろ?杏奈ちゃんなら大歓迎だけど男って……ありえない。俺以外は床ね」
「ふざけんなよ!布団もなしか!?」
「カーペット敷いてあるんだから十分でしょ」


金平斗真と千夜煌の言い合いは続く。


「来客用の部屋あんだろ?そのベッド使わせろ」
「誰が客だって?そもそもコンペイくんはお呼びじゃないんだけど。帰っていいよ」
「杏奈をここに置いて帰れるかっ‼」
「なに?杏奈ちゃんの保護者?あぁそうか。杏奈ちゃんいないと怖くて帰れないのか」
「んなわけあるか‼ひとりで帰れる‼」
「じゃあサヨナラ」
「だから杏奈をここに置いて帰れ……」


いつまで続くのだろうか。
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