お菓子な男の子
「みんな……グスッ…これからも遊びにき…てね……エグッ」


栗村さんはまだ泣いている。花梨ちゃんは背伸びしながら頭をなでている。
狭間さんはその光景を、眉ひとつ動かさずに見ている。


「周子、泣いてるところ悪いけど、これ渡すんでしょ」
「ふぇ……あっ!そうだった!」


急に泣き止んだ栗村さんは、狭間さんから封筒を受け取った。
中身はなんだろう。お金……なわけないよね。


「はい、みなさん!本当に2週間ありがとう!ボランティア特典です。みんなで楽しんでね!」
「ありがと!シュウちゃん、フミちゃん、ヨウちゃん」


差し出された封筒はひとつ。一番近くにいた花梨ちゃんが受け取った。
ちらっと斗真を見てみた。うわ、すごい顔してる。なに考えてるかはわかんないけど、喜びの感情がないことだけは確か。


「さて、もらえるものはもらったことだし帰ろうか」
「くだらない茶番も終わりだ」
「くだらないと茶番って意味かぶってるよ、コンペイくん。重言」
「帰りにまた焼き肉でも行こうか。それともチヨの家で勉強会か?」


久々に口を開いた男共の発言は、その場の空気をぶちこわした。
現状に関心がない分、狭間さんよりもひどい。


「ちょっとみん……」
「ねぇねぇ!特典早く見たい!どこに泊まるの?いつ行くの?なに持っていけばいいの?」


空気は読めないけど中身を知っているリンゴは、私の発言をさえぎってまではしゃぎだした。
< 87 / 181 >

この作品をシェア

pagetop