メガネ殿とお嫁さま
調子が出ないな。
いつもの半分ほどしか
走らず、
山を降りた。
そのまま、勝手口から
洋館の台所へと向かった。
「どうしたんです。汗も流さず。」
カヨさんが驚いた顔で
僕を見た。
「彼女見なかっ…」
カヨさんと料理台で、
見えなかった。
しゃがんでいた、
彼女が立ち上がり、
僕を見つけて、
これでもかって
笑顔で、
「おはようございます。理太さま!」
と僕に近寄ってきた。
やっぱりそれはスローモーションで、
僕の心臓を締め付ける。