メガネ殿とお嫁さま

調子が出ないな。

いつもの半分ほどしか
走らず、
山を降りた。

そのまま、勝手口から
洋館の台所へと向かった。

「どうしたんです。汗も流さず。」

カヨさんが驚いた顔で
僕を見た。


「彼女見なかっ…」


カヨさんと料理台で、
見えなかった。

しゃがんでいた、
彼女が立ち上がり、
僕を見つけて、

これでもかって
笑顔で、

「おはようございます。理太さま!」

と僕に近寄ってきた。


やっぱりそれはスローモーションで、
僕の心臓を締め付ける。



< 116 / 335 >

この作品をシェア

pagetop