メガネ殿とお嫁さま
「「「お誕生日おめでとう!!」」」

号令とともに、
一気にテラスのカーテンが引かれ、
クラッカー音と
クラスメイトの祝辞が教室に
響く。

テラスの脇には、
楽団がいて、
妙に落ち着いた、
ハッピーバースデーの曲が
生演奏される。

テラスには、これでもかと
豪勢な食事が
所狭しと並んでいる。

後ろには、何故かシェフがいて、
歌を歌いながら、
何かをフランベしていた。

「な、なんだこれ。」

毎年、毎年よくやるよ。

去年は、
オペラ風で、

一昨年は、
学校生徒全員での仮装パーティ。


「りったん!おめでとう!

ほら、りったん規模が大きいと嫌がるから、
今年は、私たちだけの
プライベートパーティにしたよ?」

と僕をテラスへ引っ張る女の子。
くりくりの明るい髪に
やたら大きな目は、
小動物を思い浮かばさるが、
やはり、美人ではある。

彼女は、要くんの婚約者、
西園寺 沙羅(さいおんじ さら)。
この中では一番年下の1年生。

これまた華族を先祖にもつ
西園寺グループのご令嬢。

このカップルが、
率先して、狂っている。
、と僕は考えている。

「全然、規模小さくないよ。」

僕は心の声をこぼした。

しかし、彼らには聞こえない。

2人してにこにこしながら、
テラスへと僕を引っ張っていく。

彼らの耳は、
ネガティブな言葉と
自分が欲してない言葉が
聞こえないように
不思議と出来ているのだ。

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