メガネ殿とお嫁さま


肌着を着て、
着物、袴、
最後に羽織を羽織る。

女の子たちは、
レトロな柄の着物を着て、
日本髪を結わえた。

朝からよくやるよ。


う。

この集団目立つな。

なんかの撮影だと思われているようで、
パシャパシャと写真を撮られる。



「「ふぁ…」」

僕と要くんは盛大に欠伸をした。

僕らは朝方まで、
色んなことを喋っていた。

女の子たちの支度が
あんまり遅いので、
昼頃まで爆睡していたのに、
まだ欠伸が出るのだ。

僕は、
気づかれないように、
そっと彼女を見た。


可愛すぎる。


ピンクにさらに濃いピンクの牡丹柄。
文庫に結んだ藍色の帯
膨らませた日本髪には、
七宝焼きの櫛がささっている。

沙羅ちゃんと手を繋ぎ、
坂道を上がっていく。


あの手は、
もう二度と僕の手を選ばないんだな。



「先生!もう拝まないでよ!」

岩ちゃんが、

「もういつ死んでもええ。」

僕らに手を合わせる沢木先生を
引っ張った。

もちろん、
先生たちも、
着物を着ている。

長崎二日目の今日、
僕らはグラバー邸にやってきた。




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