メガネ殿とお嫁さま
レトロな洋式の屋敷、
隠し部屋や、
某秘密結社のシンボルマークを見たり、
グラバー邸は、
見どころがたくさんあった。
バラが咲き乱れ、
華やかな庭に、
沢木先生が立っていた。
僕は先生の隣にたった。
庭が一望できる。
「僕は
何をなすべきか、
わかりません。」
僕は、正直に言った。
すると、
先生は、遠くを見て言った。
「私も、未だにわかりません。
自由なんて、
用意をしてもらうものじゃないと思いませんか。
生まれた時から自由な人はいない。
誰しもが、阻む何かを抵抗し、
奪い取るように手にしたのだと
思います。
彼らは、自分の手についた血を
大義のためと
確信していたのでしょうか。」
先生は、ゆっくり、
僕を見た。
「さぁ。
僕にはわかりませんが、
それが自由の対価なら、
責任を持って、
背負うしかないんじゃないですか。」
僕は、頭を掻いた。
「君も、やっぱり、
武士の子なんですね。」
先生は笑って言った。