メガネ殿とお嫁さま


「でもさ、今これをしとけば、
例えば将来、
僻地に視察に行ったり、
発展途上国に学会に行ったりしたときに、

10分でもいい。
俺は変装して飛び出すと思う。

だって、もう、そこから外を
知ってるから。

俺は、今、見なければ、
そんな日が来ないような気がして、
ただ、今見たいんだ。
世界が今どうなっているのか、
世界はどうしてできたのか。」

シュウくんは続けて言った。


僕は、1番最初に、
シュウくんはこの中では、
1番の人格者だなんて言った。


それは、失礼な言い方だった。


シュウくんは、
自分の立場で
できることを見つけて、
懸命に生きている。


「ノブレス・オブリージュ。

持てるものの義務を果たせ。」


僕が今、持っているもの…

ってなんだ?



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