メガネ殿とお嫁さま

日野原家男子の不運

僕の名前は、
日野原 理太(ひのはら りた)。
18歳。高校三年生だ。

僕が世界を代表する
日野原財閥の跡取り息子で、
俗に言うセレブ高校生だと
いうことは、
これから起こることに比べたら、
てんで大したことがないので、
早々に明かしておく。

とはいえ、
家が金持ちなだけであって、
僕が金持ちなわけではない。

ビバリーヒルズの
高校生のように
毎週パーティを
主催することもないし
誕生日に車をプレゼントされ、
それを乗り回すようなこともない。

おまけに、
中学生までは、
祖父の意向で、
公立の学校に、
財閥一家であることを伏せて
通った。


身長ばかり高いだけで、
細い体に女みたいな顔のせいで、
よくいじめられたものだ。

目立っていいことはひとつもなく、
ただ、地味に地味にをモットーに
生きてきた。


眼鏡と長い前髪は、
僕にとってアイデンティティと
言ってもいい。

すっかり僕は、
地味男子としての
ステータスを得ていたのだ。

高校から、
いきなりセレブ校に
行かされても、
それを変えることなんて
出来るはずなかった。
< 2 / 335 >

この作品をシェア

pagetop