メガネ殿とお嫁さま

「やばい。超かっこいいんですけどー!」



パシャ



「は?」


きゃっきゃ騒ぐ声が収まる。


桜子さんは、
目の前で、カメラを構える女の子を
どアップで撮った。

え、ちょっ何してんの?


僕は、ぽかんと口を開けた。



「つか、何撮ってるわけ?」

さっきまで騒いでいた女の子が、
すごく不機嫌そうな顔で
桜子さんを見た。

パシャ。


桜子さんはさらに撮った。

続けて、その隣、その奥、手前と
写真を撮っていく。


それもみんなどアップ。

「なんで撮ってんだよ。
意味わかんねー。」

ある子がそう言うと、

「あなた方と同じですよ。
珍しいお顔でしたので、
撮っております。」

と答えた。

「何してんだよ。撮るんじゃないよ。」

とある子が怒鳴ると、


「そのまま、そっくりお返しいたします。」

と静かに言って、
写真を撮った。


鼻しか写ってないじゃん。


「ぷっ…ぶは!

あははは!
みんな変な顔ー。」



僕がたまらず
大笑いすると、
何故か、周りが、
とてつもなく静かになり、
人の波が突然ひいていった。

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