メガネ殿とお嫁さま


「理太さま。
みてくださいませ!
町が!」

彼女は、観覧車でもはしゃいでいた。


「ぷっ。…あ、ごめん。」

僕は、思わず吹き出してしまった。


「何ですか?」

桜子さんが振り向いた。


「や。最初はすごい武家だ武家だって
大変だったな、と。

花嫁行列に手づくりの布団。

なんでも従うって言ったくせに
頑固で言うこと聞かないし。

ふはっ。」

この生活を振り返ると
笑いがこみ上げた。


「わ、笑うなんてひどいです!

た、確かに、い、田舎娘だったとは
思いますが。」

彼女は頬を膨らませた。


「田舎娘だと思ってたの?」

武家娘じゃなくて?

「ぶ、武家の田舎娘です…?」




「「ふふふっ」」

僕らは、顔をつけあわせて笑った。



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