メガネ殿とお嫁さま
「泣かなくていいよ。」
怪我したのは僕なのに、
わんわん泣く要くん。
僕は刺さった枝を抜き、
唾を吐きつけた。
「ほら、大丈夫。
行くよ。」
「あーしーがーいたいー。」
見ると、膝小僧が少し擦りむいていた。
僕は、あまり息があがると
喘息が出てしまう。
要くんを担いで山を下りるのは
少し難しかった。
「じゃぁ、大人を呼んでくるから、
待ってて。」
僕がそう言うと、
「やだやだやだー!
要、こんなとこひとりじゃこわいよー!!」
とさらに泣きわめいた。
仕方なく、
僕は、要くんをおぶって、
山を下りたのだった。