メガネ殿とお嫁さま


ちょうど、
パーティは園山ホテルだったので、
僕は、スウィートのカードキーを
返した。

翠さんに電話をかけた。

「僕にはもう必要ないから。」

そう言った。


「分かった。
その代わり、シュウの家の植物
見てくれないかな。」

植物?
あの殺風景な部屋に…


あぁ、昨日あったな。

翠さんが持ってきたのか。


「私、今から、パリに行くところで。」

「へ?」

僕は、驚いて聞き直した。


「もう、置いてかれるのは、
嫌だから。」

翠さんがそう言った。


僕は、なんだか
嬉しくなった。


「頑張れ。翠さん。」

僕は、彼女にそう言った。



「理太ちゃんも頑張れ。
女の子は、みんな、
王子様を待ってるから。」

翠さんは、僕の言葉を聞かず、
電話を切った。



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