メガネ殿とお嫁さま
「ごめんね。
好きだなんて言って。」
僕は、夢の中の彼女に言った。
彼女は、ふるふると横に首を振った。
「こんなだらしない男が、
君の初めての旦那さんですまない。」
彼女は、ぐっと涙をこらえた。
いっぱい泣かせたね。
そして、今も困らせてる。
それでも諦められない、なんて。
どうか、僕から逃げて、
その結婚相手の人と
幸せに暮らしてくれ。
もう、僕が手の届かないところまで、
行ってくれ。
僕は、それだけ願って
夢の中で眠りに入った。
彼女がすすり泣く声が聞こえたような
気がした。