メガネ殿とお嫁さま


「あとは、お若い方にお任せして…」

はいはい。

もういいから。

僕は、
魂が抜けたまま、
桜子さんに引っ張られて、
庭を歩いた。


「大丈夫ですか?理太さま。」

桜子さんは、心配そうに
僕の顔を除きこんだ。


僕は、思わず、
うりゅっと涙がこみ上げ、
彼女を目いっぱい抱きしめた。

「…

ここは、きみん家じゃないかあああああ!!」

と大声をあげて、
おんおん泣いた。


「そうですよー。
もう泣かないでください。」

いつもと逆に、
桜子さんが僕を慰めた。


< 316 / 335 >

この作品をシェア

pagetop