メガネ殿とお嫁さま
「駆け落ちは絶対駄目ですもの。
ちゃんと両家に祝福されなくては、
いけません。
家を捨てるとおっしゃられた時、
私、少し、そう
お、怒ったんですから。」
彼女は、そう言った。
「そんなぁ。
で、でも。
じゃあ、どうなるの?」
僕は、仰向けになって、
彼女を見つめた。
「私が、綾小路家を出ます。」
「ダメだ!
そんなこと許されないよ!」
僕は、起き上がり、
彼女を見つめた。
すると彼女は、
そっと耳打ちをした。
「大丈夫です。
嫁いでも、私は、綾小路家の伝統としきたり、暮らしの知恵を
引継ぎます。
それに…」
「えええええええーーー!!」
僕は、その続きの言葉に
驚きの声をあげ、
また、彼女の膝に逆戻りした。