メガネ殿とお嫁さま
「卒業おめでとう!
あ、俺もか。
ん?150年後?
あるよ。
もちろん。
戦争がなくなって欲しい。」
日に焼けたガタイのいい男の子が
白い歯を見せて笑った。
「日本は、今、
すごく平和に見える。
だけど敗戦国であることを
忘れているだけだ。
戦争は、今も続いている。
武力行使を受けてないだけで、
いつそうなるか分からない。
日本だけじゃない。
世界中では、今まさに
戦争で死んでいく人たちがたくさんいる。
戦争は銃弾だけじゃない。
貧困で死んでいく人もいる。
世界がひとつになるように
俺は祈り続けるよ。」
鳳凰院 柊次郎。
鳳凰院の病院のひとつで、
院長を務めるも、
兄に任せっぱなしで3年で解雇。
理由は、放浪癖。
医者としての腕は世界一と言われたが、
すぐに発展途上国へと向かってしまう。
研究者としても名声高く、
ある研究所に滞在中、
感染病のワクチンを発明。
それを手に世界中を回る。
また戦場でも、
敵味方関係なく、
救える人を救い続け、
それを記録、撮影し、
世界中に戦争の悲惨さを訴えた。
後にノーベル平和賞を受賞。
晩年、妻の翠が倒れるまで、
その活動を緩めることはなかった。