メガネ殿とお嫁さま
「…え、あ、はい。
日野原 理太です。
150年後のみんな
見ていますか?
これだけは伝えたくて。
僕たちは、生きています。
自分で考えて、
自分でアクションを起こしています。
好きな人に好きだと言い、
好きな職業に着きます。
みんな自分のルールで
生きています。
それが、誰かを傷つけているかもしれません。
偏った生き方を各々しているかもしれません。
でも、僕たちには、使命があるはずです。
為すべきことは、
必ずどの時代にもあるんです。
それが、君たちのいる時代を
作っていることだけは、
忘れないでほしい。」
綺麗な顔をした男の子は、
まっすぐ前を向いて言った。
「君たちの細胞は、
かつて、僕たちだったことがあるんだ。」
彼の名は、
日野原 理太。
当時世界で最も大きな財閥の
トップだった男。
その大胆な経済改革は、
どれも世界を驚かせた。
民間の企業が
宇宙開発に着手し、
その後の地球生活の石杖を築いた。
時代の革命児ともてはやされていたものの
ある事業が失敗したり、
暗殺未遂にあったりと
ピンチに晒されることも。
しかし、何故か、
体制を整えて、
世界のトップで有り続けた。
私生活では、
自給自足に似た、
徹底した質素倹約な生活をしており、
そのスタイルは、
「武士」と呼ばれたそうだ。
また、ある国の大統領は言った。
彼以上に、ミステリアスで、
美しい生き方をした人はいない、
と。
彼の死後、
日野原家財閥は、
地球管理システムを完成させ、
採用されることとなった。