メガネ殿とお嫁さま
バスルームから、
バスタオル姿の
桜子さんが出てきたのだ。
「や、あの、これは、
違うんだ!」
桜子さんは、
僕と翠さんの状況を見て、
後ろを向いた。
「あの…その…
勢いがすごくて、
部屋中を水浸しにしてしまって、
それがまだ襦袢を着たままで、
試してしまい…えと、
あの…服がなくて。
…お、お邪魔しました!」
「桜子さん!」
彼女は、バスルームに引き返した。
「なぁんだ。
つまんないの。
ヘタレなフリして
やることやってんのね。」
翠さんは、
がっかりとオーバーリアクションをして、
膝から降りた。
「違います…よ。」
僕は、今朝の桜子さんの
甘い吐息を思い出した。
「あ、今やらしいこと思い出した?」
翠さんは、ニヤニヤ笑った。
「とにかく、泊めてもらったのは
感謝してますが、
みんなには言わないでください。
そして、即刻立ち去ってください!」
僕は意を決して言った。
普段言い返したことがないので、
翠さんは驚いていた。
だって、
早く。一刻も早く、
桜子さんのところに行きたいから。