不順な恋の始め方
間違った道の正し方
──── ガタッ
「う、嘘」
ひとり暮らしをしている部屋のトイレにて。〝あるモノ〟を片手にぐらりと盛大にフラついたのは私、森下柚希(モリシタ ユズキ)
慌てて体勢を戻すと、私はもう一度その〝あるモノ〟を見直した。
白く、細長い、プラスティック製のそれ。その中心部には青い1本の縦ラインが浮き出ている。
・・・そう。私が手に持っているのは妊娠検査薬だ。
そして、青い1本の縦ラインが浮き出ているということは〝陽性〟である。とどのつまり、私の身体は今現在妊娠している状態だということだ。
「に、妊娠……してる……」
整理しようとしても、しきれない現実にまた再びぐらりと揺れる視界。私はもの凄い勢いでトイレから飛び出し、服を着替え、ある場所へと直行した。
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