不順な恋の始め方
この無意識的な上目遣いに加えて『デートしたいです』って……なあ?
こんなん、普通の男なら堪ったもんやないで。これほど無意識というものを恐ろしく思うことはきっとこの先ないわ。うん。
「ごめん、冗談。ちょっとイジリたなって……でも今度の今度の日曜はしよな?デート」
「え、な…!! またですか!! 本当にやめてください!こっちは本当に申し訳ないと思って…」
俺にイジられていたことにやっと気がついた柚希は、次は眉を八の字の逆にして頬を膨らませた
「あはは、ほんまごめんって」
「ごめんじゃないですよ!もう!」
酷い、と俺の肩をポンとグーの手で押した柚希の力はやはり女の子という感じで。
俺は痛くも痒くもない肩に置かれている柚希の細い腕を掴み、腕、手首、それから手の平へと段々自分の指先を動かした。
最終的にお互いの手のひらが重なった状態になったこの2つの手に柚希は目をぱちくりとさせた