不順な恋の始め方
ズキン─────
ズキン、ズキン、と鋭く刺さるような胸の痛みと共に私の思考はまた振り出しに戻る。
自分にいくら言い聞かせようとしたって、やはり完全な〝白〟とは考えられない。
信じるんだって決めたばかりなのに。
ちゃんと譲のことを信じようって決意したばかりなのに。もう、こんなにも揺らいでる。
私…譲の彼女も、お嫁さんも、失格だ。
「森下先輩!」
「え……菅ちゃん……」
とぼとぼと歩き続けていた私の背後から真っ直ぐ聞こえた声。
それに反応し、足を止めて振り向くとそこには心配そうな表情をした菅ちゃんがいた。
「ちょっと話しましょう!先輩!」
「えっ!?あ、ちょっ……」
ぐいっと菅ちゃんに腕を引かれた私は、まるで引きずられるかのように人気の少ない非常階段へと連れてこられた
「す……菅ちゃん、どうしたの……」
肩を上下に動かし、息を整える。
するとこちらを向いて、真っ直ぐに目を合わせてきた菅ちゃんが一気に表情を変え、悲しそうな顔になった