不順な恋の始め方
「実は、私……ね…………坂口先輩と、お付き合いしてるの」
言い終わった後、大きく深呼吸をした。
ドクンドクンと高鳴る胸を落ち着かせるように深呼吸を繰り返し、少し落ち着いたところで菅ちゃんの表情を確認する
「え、ええっ………な、そ、それ……本当ですか……!?」
私と目が合うと、菅ちゃんはやっと言葉の意味が理解できたのか目を大きく見開いて驚いた。
私は、返事の代わりに一度だけコクリと頷いて「ちょっと訳ありなんだけどね」と小さく付け足す
「まぁ、その……だから……えっと…………あ。あの、因みにこのことは他の人には内緒ね?」
「はい、大丈夫です! でも……付き合ってるなら何で坂口先輩はさとゆりなんかと……」
あっさりとした返事だったけれど、菅ちゃんが他の人に口を滑らせてしまうなんていう心配は私には無かった。
それは、菅ちゃんとずっと一緒に働いていれば分かることだから。
だからその部分は良かったんだけど……やはり問題は、〝そこ〟だ。